マネーマシンを考える
家族や親族で資産管理会社を作れますか?
家族や親族で資産管理会社を作ることは可能です。実際に、不動産・株式・預貯金などの資産を多く保有するご家庭では、節税やスムーズな事業承継(相続)を目的に「プライベートカンパニー」として設立するケースが多くあります。
主な活用メリット
- 所得税の節税:会社から家族に「役員報酬」を支払うことで所得を分散でき、全体の税率を下げられます。
- 経費計上の拡大:管理費用、車両費、日当などを会社の経費として計上できます。
- 相続対策・事業承継:子供や配偶者を株主にしておくことで、将来の資産移転に伴う贈与税や相続税を抑えやすくなります。
実務上の注意点
- 出資者・役員の決め方
- 株式(所有):資金を出す代表者(親など)のほか、将来資産を渡したい子・配偶者を株主にしておくことが一般的です。
- 役員(経営):実際に業務を行う家族を役に就任させます。
- 役員報酬の実態要件
- 家族を役員にして報酬を支払う場合、「実際に業務を行っていること」が必要です(名前だけで実態がないと、税務調査で否認されるリスクがあります)。
- 維持コストの発生
- 会社を設立すると、赤字であっても毎年「法人住民税の均等割(年間約7万円〜)」などの維持費が発生します。管理する資産規模が小さい場合は、節税額より維持コストが上回ることがあります。
主な会社形態の比較
法人を設立する場合、「株式会社」または「合同会社(LLC)」のいずれかを選ぶのが一般的です。
| 項目 | 合同会社(LLC) | 株式会社 |
|---|---|---|
| 設立費用 | 約6万円〜(登録免許税が安い) | 約20万円〜 |
| 家族での運営 | 出資割合と決議権を柔軟に設定可能 | 株主総会等の手続きが必要 |
| おすすめの傾向 | 資産管理目的(対外的な知名度が不要) | 将来的に外部資本を入れる・対外信用重視 |
資産管理会社の場合は、設立費用が安く手続がシンプルな合同会社を選ぶケースが増えています。
事業を行なっていることが必要、これはどの様な規模ですか?
資産管理会社において「事業を行っている」とみなされる規模は、法律上の明確な数値基準(売上〇〇万円以上など)があるわけではありません。「実体として管理・運用すべき資産があり、それに伴う管理業務が発生しているか」が判断基準となります。
具体的な規模の目安
- 不動産管理の場合
- 目安:アパート1棟(5室〜10室程度)以上、または戸建て・マンション数戸以上。
- 理由:家賃の集金、清掃の手配、修繕計画の立案、入居者対応などの管理業務が日常的に発生するため、「事業」として十分成り立ちます。
- 有価証券(株式・投資信託)運用の場合
- 目安:運用資産で数千万円以上。
- 理由:銘柄のリサーチ、売買判断、ポートフォリオの再構築などの業務が発生します。年間数百万円程度の運用益(または数十万円の役員報酬)を出せる規模がひとつの目安です。
税務署から「事業実態がない」と判定されないためのポイント
税務調査などで問題になりやすいのは「規模の小ささ」そのものよりも、「実態のない家族へのお金の移動(名義だけの役員報酬)」です。以下の条件を満たしていれば、小規模であっても問題ありません。
- 実際に業務を行っていること
- 例:不動産の清掃・見回り、帳簿付け、売買・振込手続き、資産運用の計画立案など。
- 報酬額が業務内容に見合っていること
- 月数万円程度の管理業務に対して、月数十万円などの不相応に高い役員報酬を払うと否認されるリスクが高まります。
- 業務の記録(議事録や業務日誌など)を残していること
- 役員会(家族会議)の議事録や、いつどんな管理業務を行ったかのメモを残しておくことが重要です。
まとめ
- 最低限のライン:会社として毎年発生する固定費(法人住民税の均等割・約7万円や決算手数料など)を引いても、節税効果や資産管理のメリットが残る規模(不動産なら数室、証券なら数千万円〜)が実質的なスタートラインとなります。
- 小さく始める方法:最初は親1人が代表となり、管理業務の一部を家族に手伝ってもらいながら、実態に合わせて少しずつ役員報酬を設定していく方法が一般的です。
再来年に後期高齢者の税率が保険料や医療費負担と株式売却益に今よりかかりますが、資産管理会社の条件に後期高齢者は見合いますか?
資産管理会社の活用は、後期高齢者医療制度における金融所得の反映対策としてきわめて条件に合致し、有効な選択肢となります。
背景:後期高齢者制度の法改正
法改正により、これまで「源泉徴収ありの特定口座」で確定申告不要を選択していれば把握されなかった株式売却益や配当金が、確定申告の有無にかかわらず自治体側で把握され、保険料や医療費窓口負担(1〜3割)の判定に直接反映される仕組みが順次導入されます。
個人の特定口座で大きな株式売却益が出ると、その年や翌年度の医療費負担が2割・3割へ引き上げられたり、保険料が上限近くまで高騰したりするリスクが生じます。
資産管理会社が適している理由
- 個人所得から「法人利益」への分離 資産管理会社(法人)を開設して株式運用を行えば、売買益や配当は法人の利益(法人税の対象)となります。個人の所得(課税所得)にはカウントされないため、後期高齢者医療の判定基準となる個人所得の上昇を抑えられます。
- 配当・報酬コントロールによる調整 法人で出た利益は、無理に全額を個人の役員報酬として取り出す必要がありません。医療費や保険料の負担増にならない範囲(数万円〜必要な最低限度)に個人の役員報酬を調整することで、社会保険上の影響を一定にコントロールできます。
- 将来の相続対策との一体化 資産管理会社の株主を子供や孫(次世代)にしておくことで、会社に蓄積した株式運用益を相続税の対象から外しながらスムーズに資産移転を進められます。
導入にあたって考慮すべき点
- 設立・維持コスト 会社の設立費用(合同会社なら約6万円〜)や、赤字でも毎年発生する法人住民税の均等割(年間約7万円〜)、決算申告の税理士費用などの固定コストが発生します。
- 個人口座から法人口座への移管手続 個人で現在保有している株式を直接法人の口座へ移管することはできません。一度個人で売却して法人の資金として買い直すか、新しく用意した法人資金で運用を始める必要があります。
資産規模が大きく、年間の売却益や配当金が数千万円単位で出る状況であれば、医療費・保険料の負担跳ね上がりを防ぎつつ節税・相続対策を狙えるため、資産管理会社の活用は非常に相性が良いと言えます。
株式取引でマイナス計上の場合、所得税と相殺できますが、法人税は相殺できるのでしょうか?
結論から言うと、法人の場合も、株式取引のマイナス(売却損)を会社の他の利益と相殺することができます。
- 他の利益と合算できる 法人の場合、個人のような複雑なルールはなく、株式の売却損は会社の「経費(損金)」として扱われます。そのため、本業の利益や他の収入からマイナス分をそのまま差し引くことができます。
- 残ったマイナスは翌年以降に繰り越せる その年の利益よりも株式のマイナスの方が大きく、会社全体で赤字になった場合、その赤字(欠損金)は最大10年間にわたって翌年以降の黒字と相殺し、法人税を安くすることができます。
- 個人の仕組みとの違い 個人口座では「上場株式の配当と売却損の相殺」などに細かいルールがありますが、法人はすべての収入と支出を一つの財布で計算するため、株式のマイナスも自然に全体の税金計算に反映されます。
※株をすすめていない
